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ブランチの比較と統合

このセクションでは、ブランチ同士の違いを確認したり、統合したりする方法を学びます。少し理解が難しい内容も含まれていますが、焦らずに一つずつ理解していけば大丈夫です。実際の開発では頻繁に使う重要な機能なので、気軽に試しながら覚えていきましょう。

学習のペース

このページの内容は段階的に学習することをおすすめします:

  1. まずはgit diff - 違いを確認する方法から始める
  2. 次にgit merge - 基本的な統合方法を覚える
  3. git rebaseは後回し - まずはmergeに慣れてから
  4. コンフリクト解決 - 実際に遭遇したときに詳しく学習

git diff - 変更内容の確認

git diffは、ファイルやブランチ間の違いを確認するためのコマンドです。「何が変わったか」を知ることで、安全にマージやその他の操作を行えます。

基本的な使い方

bash
# ワーキングディレクトリとステージングエリアの違い
git diff

# ステージングエリアと最新コミットの違い
git diff --staged

# 2つのブランチの違い
git diff main feature/login

# 特定のファイルの違い
git diff main feature/login -- ファイル名.py

実践例

bash
# 現在のブランチとmainブランチの違いを確認
git diff main

# 出力例:
# diff --git a/login.py b/login.py
# index 1234567..abcdefg 100644
# --- a/login.py
# +++ b/login.py
# @@ -10,3 +10,6 @@ def login(username, password):
#      return False
#  
# +def logout():
# +    print("ログアウトしました")
# +    return True

diffの読み方

bash
# - で始まる行:削除された内容(赤色)
- 古いコード

# + で始まる行:追加された内容(緑色)  
+ 新しいコード

# スペースで始まる行:変更されていない内容
  変更なしのコード

git merge - ブランチの統合

git mergeは、別のブランチの変更を現在のブランチに統合するコマンドです。

基本的な使い方

bash
# 現在のブランチに指定したブランチの変更を統合
git merge ブランチ名

実践例

bash
# 1. mainブランチに移動
git switch main

# 2. 最新の状態を確認
git status
git log --oneline -5

# 3. feature/loginブランチをマージ
git merge feature/login

# 4. マージ結果の確認
git log --oneline -10

マージの種類

Fast-forward マージ

mainブランチに新しいコミットがない場合、シンプルに統合されます。

3-way マージ

両方のブランチに新しいコミットがある場合、マージコミットが作成されます。

git rebase - 履歴を整理する統合(上級編)

git rebaseは、ブランチの履歴を「書き換えて」統合する方法です。マージよりも複雑ですが、きれいな履歴を作れます。

初心者は後回しでOK

rebaseは上級テクニックです。最初はgit mergeに慣れることを強くおすすめします。

特に、すでにチームで共有しているブランチ(GitHubにプッシュ済みのブランチ)に対してrebaseを実行すると、他のメンバーの履歴と食い違いが生じ、大きな混乱を招く可能性があります。絶対に実行しないでください。

rebaseは、まだプッシュしていない個人の作業ブランチを整理する場合にのみ使用を検討してください。

基本的な使い方

bash
# 現在のブランチをmainブランチの最新状態を基準に書き換え
git rebase main

mergeとrebaseの違い

ここでは、featureブランチの変更をmainブランチに取り込む場合を例に説明します。

前提条件:

  • mainブランチからfeatureブランチを作成
  • featureブランチで作業(コミットC、D)
  • その間にmainブランチも更新された(コミットE)
  • 今、featureブランチの変更をmainに取り込みたい

merge の場合:

bash
# mainブランチに移動して、featureブランチをマージ
git switch main
git merge feature

結果:履歴が分岐と統合の流れを保持する

rebase の場合:

bash
# featureブランチでrebaseを実行
git switch feature
git rebase main
# その後、mainにマージ
git switch main
git merge feature

結果:featureブランチのコミット(C、D)がmainの最新(E)の後に移動し、一直線の履歴になる

いつどちらを使う?

merge を使う場合:

  • 安全で確実
  • 履歴の流れが分かりやすい
  • チーム開発では基本的にこちら

rebase を使う場合:

  • きれいな一直線の履歴にしたい
  • 個人の作業ブランチを整理したい
  • まだプッシュしていないコミット

コンフリクト(競合)の解決

同じファイルの同じ部分を異なる内容で変更した場合、コンフリクトが発生します。

コンフリクトが発生する例

bash
# mainブランチでファイルを編集
git switch main
# main.py を編集してユーザー表示機能を追加
git add main.py
git commit -m "feat: ユーザー表示機能を追加"

# feature ブランチでも同じファイルの同じ部分を編集
git switch feature/user-greeting
# main.py の同じ部分に挨拶機能を追加
git add main.py
git commit -m "feat: ユーザー挨拶機能を追加"

# マージを試行
git switch main
git merge feature/user-greeting
# Auto-merging main.py
# CONFLICT (content): Merge conflict in main.py

コンフリクトファイルの確認

コンフリクトが発生すると、ファイルにマーカーが追加されます:

python
def user_function():
<<<<<<< HEAD
    print("mainブランチの変更:ユーザー情報を表示します")
    return "user_info"
=======
    print("featureブランチの変更:こんにちは、ユーザーさん!")
    return "greeting"
>>>>>>> feature/user-greeting

コンフリクト解決の手順

  1. コンフリクトファイルを開く
bash
# どのファイルでコンフリクトが発生したか確認
git status
# On branch main
# You have unmerged paths.
#   (fix conflicts and run "git commit")
# 
# Unmerged paths:
#   (use "git add <file>..." to mark resolution)
#         both modified:   main.py
  1. ファイルを編集してマーカーを削除
python
def user_function():
    # 両方の機能を統合して解決
    print("ユーザー情報を表示します")
    print("こんにちは、ユーザーさん!") 
    return "user_info_with_greeting"
  1. 解決をGitに伝える
bash
# 修正したファイルをステージング
git add main.py

# コンフリクト解決を完了
git commit -m "コンフリクトを解決: ユーザー表示と挨拶機能を統合"

コンフリクト解決のコツ

bash
# 1. 慌てない - 元に戻すことも可能
git merge --abort  # マージを中止

# 2. どちらの変更も確認
git show HEAD      # 現在のブランチの変更
git show feature/test  # マージしようとしているブランチの変更

# 3. チームメンバーと相談
# どちらの変更を採用するか、または両方を統合するか相談

実践的なワークフロー

1. 安全なマージ手順

bash
# 1. 作業前に状況確認
git status
git switch main
git pull origin main

# 2. マージ前に違いを確認
git diff main feature/new-function

# 3. 問題なければマージ
git merge feature/new-function

# 4. マージ結果を確認
git log --oneline -10

2. コンフリクトを避けるコツ

bash
# 定期的にmainブランチの変更を取り込む
git switch feature/my-work
git merge main  # または git rebase main

# 作業前に最新状態にする
git switch main
git pull origin main
git switch feature/my-work
git merge main

よくある質問

Q: diffの出力が長すぎて読めない

A: オプションを使って見やすくしましょう:

bash
# ファイル名だけ表示
git diff --name-only main feature/branch

# 統計情報を表示
git diff --stat main feature/branch

# 特定のファイルのみ
git diff main feature/branch -- src/main.py

Q: マージを間違えた

A: 直前のマージなら取り消し可能です:

bash
# 直前のマージを取り消し
git reset --hard HEAD~1

# または
git reset --merge

Q: rebaseで失敗した

A: 中断して元に戻せます:

bash
# rebase を中断
git rebase --abort

Q: コンフリクトが怖い

A: まずは簡単な練習をしてみましょう:

bash
# テスト用のブランチで練習
git switch -c test-merge
# 意図的にコンフリクトを作って解決の練習

チーム開発でのベストプラクティス

マージ前の確認事項

  1. 差分の確認
bash
git diff main feature/my-work
  1. テストの実行
bash
# プロジェクトのテストコマンドを実行
npm test  # または pytest など
  1. コードの確認
bash
# 自分の変更を再確認
git log --oneline main..feature/my-work

安全な作業の進め方

  • 小さな単位でコミット
  • 定期的にmainブランチの変更を取り込む
  • マージ前に必ずdiffで確認
  • 不安な時はチームメンバーに相談

コンフリクトやマージは最初は難しく感じますが、慣れれば日常的な操作になります。失敗を恐れずに、練習環境で色々試してみることが上達の近道です。

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