Gitの基礎
プログラミングを始めたばかりの方にとって、Gitは少し難しく感じるかもしれません。でも大丈夫です。このページでは、Gitとは何か、なぜ必要なのかを分かりやすく説明します。
Gitとは何か?
Gitはバージョン管理システムと呼ばれるツールです。簡単に言うと、「ファイルの変更履歴を記録・管理してくれるツール」です。
身近な例で考えてみましょう
レポートを書いているとき、こんな経験はありませんか?
レポート.docx
レポート_修正版.docx
レポート_最終版.docx
レポート_最終版_修正.docx
レポート_本当の最終版.docx
これは手動でのバージョン管理です。Gitを使えば、このような作業を自動化し、より便利に管理できます。
なぜGitが必要なのか?
1. 変更履歴の管理
Gitは「いつ、誰が、何を変更したか」をすべて記録します。
2. 安全な実験
新しい機能を試したいとき:
- 元のコードを壊す心配がない
- 失敗しても簡単に元に戻せる
- 複数のアイデアを同時に試せる
3. チーム開発での協力
複数人で同じプロジェクトを開発するとき、お互いの変更を安全に統合できます。
Gitの4つの重要な領域
Gitでは、ファイルが4つの異なる「場所」を移動します。これを理解することが、Git習得の鍵です。
1. ワーキングディレクトリ(作業場所)
- 実際にファイルを編集する場所
- VS Codeでコードを書いている場所
- 例:
main.py
ファイルを編集中
2. ステージングエリア(準備場所)
- コミット前の「準備エリア」
- 「このファイルを記録に残したい」と選択したファイルが置かれる場所
- 例:
git add main.py
で準備完了
3. ローカルリポジトリ(記録場所)
- 自分のPC内にある変更履歴の保存場所
git commit
で正式に記録される- 例: 「ログイン機能を追加」という履歴が保存
4. リモートリポジトリ(共有場所)
- GitHub上にある、チーム全体で共有する場所
git push
で自分の変更をチームに共有- 例: チームメンバーが最新版を取得できる
基本的なワークフロー
日常的な作業の流れを見てみましょう:
bash
# 1. 現在の状況を確認
git status
# 2. ファイルを編集
# VS Code等でコードを編集
# 3. 変更をステージング(準備)
git add ファイル名.py
# 4. 変更をコミット(記録)
git commit -m "何を変更したかの説明"
# 5. 変更を共有(チーム開発の場合)
git push origin ブランチ名
重要な概念
コミット(Commit)
- 変更の「記録」を作ること
- 写真を撮るようなイメージ
- 後から「この時点に戻りたい」と思ったときの目印
ブランチ(Branch)
- 開発の「流れ」を分岐させること
- 新機能開発やバグ修正を安全に行うため
- メインの開発ラインを壊さずに作業できる
マージ(Merge)
- 分岐した開発ラインを統合すること
- 完成した機能をメインラインに取り込む
初心者がよく感じる不安
「間違えたらどうしよう」
→ Gitは「元に戻す」機能が豊富です。間違いを恐れずに試してみましょう。
「コマンドが覚えられない」
→ 最初は基本的なコマンドだけで十分です。徐々に覚えていけば大丈夫。
「チームに迷惑をかけそう」
→ 適切なワークフローを覚えれば、むしろチーム開発が楽になります。
このハンドブックでの学習の流れ
以下の順序で学習することをおすすめします:
基礎編(必須)
- ステージング - ファイルの変更を準備する方法
- コミット - 変更を記録する方法
- ブランチ - 安全に作業を分岐する方法
実践編(チーム開発で必要)
- リモート - チームメンバーと変更を共有する方法
- GitHub - プルリクエストによるコードレビュー
応用編(慣れてから学習)
- ブランチの比較と統合 - 異なるブランチを統合する高度な方法
- トラブルシューティング - 問題が起きたときの対処法
学習のコツ
最初は基礎編だけで十分です。実際のプロジェクトで基本操作に慣れてから、応用編に進むことをおすすめします。
まとめ
Gitは最初は複雑に見えますが、基本的な概念を理解すれば、プログラミングにおいて非常に強力なツールになります。
覚えておいてほしいこと:
- Gitは「変更履歴の管理ツール」
- 4つの領域(ワーキングディレクトリ、ステージング、ローカル、リモート)を理解する
- 間違いを恐れずに、実際に使いながら覚える
- チーム開発では必須のツール
次のページから、実際のコマンドを使いながら、一歩ずつ学んでいきましょう!